平成29年度調査結果
★宮崎県綾町川中の照葉樹林地域を中心にヤマビルの生息密度調査(ヒトおとり法による)を行いました。
<6月のヤマビル生息数調査>
奥山の照葉樹林
川中製材所跡地周辺でわずか2個体を見るのみでした。
この地域は以前からヤマビルが多く、吸血被害が良く発生する場所でしたが、なぜ少なくなったのか?豪雨により土砂が流された、ニホンジカの食圧がひどくシカが他地域へ移動したためヤマビルも減ったのではないか、との予測がされました。
<7月のヤマビル生息数調査>
①奥山の照葉樹林
この地域で捕獲されたヤマビルの総数は22個体で、6月よりも増加していた。
②奥山に隣接した県有林地域
県道26号線沿いや大口遊歩道で調査したところ66個体が捕獲されました。
③県有林からさらに離れた里山・人家周辺
ヤマビルの生息数は少ないですが、ところどころに生息が確認されています
<10月のヤマビル生息数調査>
①奥山の照葉樹林
捕獲数は35個体と、7月の調査時に比べると、やや増加しました。ただ大きさを比べると生まれて数週間の仔ビルがほとんどでした。
②奥山に隣接した県有林地域
総捕獲数は39個体で、多くは生まれて数週間の仔ビルでした。
★センサーカメラによる野生動物の出現頻度調査
奥山照葉樹林地域の川中製材所跡地周辺で、ニホンジカ、イノシシ、テンなどの野生動物の出現が観察されています。
★吸血源を探るためのDNA分析調査
7月に捕獲したヤマビル62個体を解析しました。綾町で最も吸血されていたのはヒトで約67%でした。他地域の例ではシカやイノシシが優先していることが多く、次年度も引き続き調査継続します。
★里地アンケート調査結果
綾町住民に対してヤマビルに関するアンケート調査を実施し、106名から回答を得ました。
①近くの山でヤマビルを見たことがある人(46%)
自宅周辺でヤマビルを見たことがある人(30%)
②ヤマビルに吸血されたことのある人(46%)
・そのうち、近くの山(43%)、自宅周辺(23%)
③住宅周辺での野生動物の出現観察
・アナグマ(18%)、ニホンジカ(17%)、イノシシ(17%)、サル(16%)、タヌキ(13%)、ノウサギ(11%)
④ここ数年、ヤマビルを見た地域
倉輪、上畑、杢道、北麓、尾立、古屋
【平成29年度の詳しい調査報告は照葉樹林だより第51号より抜粋】
「全国的に拡がるヤマビル被害(谷重和)」(PDF5.87Mb)
「平成29年度 宮崎県綾町のヤマビル調査結果(谷重和氏)」(PDF12.2Mb)
「ヤマビルに吸血されているのは誰?~DNA分析による種判別~(西田伸氏)」(PDF5.73Mb)