照葉樹林とは

照葉樹林

・葉の表面は、太陽の光でキラキラと光る・葉っぱの色は新緑のころにもっともカラフルになる(たくさんの種類の緑色)

・モコモコとしたブロッコリーのような森をつくる

樹木は大きく針葉樹と広葉樹に分けられ、広葉樹はさらに落葉広葉樹(秋に葉を落とす)と常緑広葉樹(冬も緑の葉をつけている)にわけられます。照葉樹は、この常緑広葉樹のひとつです。
その昔、照葉樹林は日本を広く覆い、人々の生活と深くつながっていました。
しかし開発などによって、照葉樹林は私たちの前からだんだん姿を消していきました。
今では日本の総森林面積の1.2%にしか過ぎません。
そんな時代に、宮崎県綾町には、2,000haの照葉樹林が広がっています。ここは日本最大の照葉樹林帯なのです。

 

 

綾の照葉樹林では、848種類の植物が確認されています。そのうち照葉樹林を構成する種は263種類もあります。さらに、照葉樹林の高木といわれる25種のうち、24種類が確認されています。
私たちが失ってしまった照葉樹林の姿が、ここには残されているのです。
植物のほかにも、たくさんの生き物が暮らしています。この森を生息南限とするニホンカモシカ、絶滅危惧種のクマタカやヤイロチョウ、九州で初めて生息が確認されたクロホオヒゲコウモリ、南九州とアメリカテキサス州にだけ発生するキリノミタケ…。私たちの身近な生き物から、なかなか会えない珍しい生き物まで、たくさんの命が息づいています。

 

 

 

 

豆知識「照葉樹林文化」

私たちの住む日本から東アジアに広がる照葉樹林帯には、共通の文化がたくさんあります。照葉樹林の恵みがその起源と言われ、「照葉樹林文化」と呼ばれています。大豆発酵による納豆や味噌・醤油、魚の姿寿司を自然発酵させて作るナレズシ、水さらし法であく抜きをしたクズ粉やワラビ粉、そしてコンニャク。サトイモやヤマノイモ(ナガイモ)が栽培され、モチ米、モチアワ、モチキビなどの粘り気の多い種子澱粉をもつモチ種も共通に分布しています。
めでたい時には赤飯、餅、甘酒を振る舞う習慣も同じです。食物以外でも、野生の繭から作る絹の利用、ウルシの木などからうるしをとって漆器を作る技術も照葉樹林帯が発祥の地です。